COST REALITY / SCHOLARSHIP GUIDE

(2)給付型・貸与型奨学金と
世帯年収の壁

給付条件、貸与額、保証制度、返還期間、 家計基準を整理します。 「借りられる額」ではなく、卒業後も無理なく 返せる額から進学費用を設計しましょう。

1.奨学金は3種類に分けて考える

返還不要

給付奨学金

原則として返す必要がない支援です。 家計・資産・学業などの基準があります。 授業料等減免と組み合わせて支援されます。

無利子

第一種奨学金

借りた元金を卒業後に返還します。 第二種より家計・学力の基準が厳しく、 定額返還または所得連動返還を選びます。

有利子

第二種奨学金

月2万円から12万円まで選択できます。 元金に利息を加えて返還するため、 必要最小限の月額に抑えることが重要です。

2.「世帯年収の壁」の正体

給付奨学金は、単純な額面年収ではなく、 本人と生計維持者の住民税情報から算出する 「支給額算定基準額」で支援区分を判定します。

第Ⅰ区分住民税非課税世帯相当
満額支援
第Ⅱ区分第Ⅰ区分の
おおむね3分の2
第Ⅲ区分第Ⅰ区分の
おおむね3分の1
第Ⅳ区分対象要件あり
おおむね4分の1

給与所得者・4人世帯の年収目安

本人、片働きの親、無収入の親、中学生という JASSOのモデル世帯では、2027年度予約採用の 年収上限目安は次のとおりです。

支援区分 年収上限の目安 考え方
第Ⅰ区分 約271万円 住民税非課税世帯相当
第Ⅱ区分 約303万円 第Ⅰ区分より支援額が減る
第Ⅲ区分 約378万円 さらに支援額が減る
第Ⅳ区分 約635万円 多子世帯・私立理工農系など対象要件あり

この年収表は「目安」です。
共働きか片働きか、兄弟姉妹の年齢、社会保険料、 障がい者控除などによって結果が変わります。 実際の審査はマイナンバーで取得する住民税情報を 基に行われます。

資産基準も確認する

給付奨学金には収入基準だけでなく資産基準もあります。 申込者本人と生計維持者の現金、預貯金、有価証券、 投資信託などの合計も審査対象です。 住宅ローンなどの負債と相殺はできません。

3.多子世帯の「所得制限なし」に注意

2025年度から、扶養する子どもが3人以上の多子世帯は、 所得制限なく、国が定める上限まで授業料・入学金の 減免を受けられる制度が始まりました。

授業料が必ず全額無料になる制度ではありません。
学校の授業料が国の減免上限を超えれば差額は自己負担です。 また、収入が第Ⅳ区分を超える多子世帯は、 授業料等減免の対象でも、現金の給付奨学金は 支給されない場合があります。

大学の授業料等減免上限(年額)

国公立大学 入学金:約28万円
授業料:約54万円
私立大学 入学金:約26万円
授業料:約70万円

※金額はJASSO公表の上限額を万円単位で表示しています。 対象校、学業要件、扶養状況などの確認が必要です。

4.給付奨学金の月額

大学・短期大学・専門学校の通常課程では、 国公立か私立か、自宅通学か自宅外通学かによって 給付月額が変わります。

区分 国公立・自宅 国公立・自宅外 私立・自宅 私立・自宅外
第Ⅰ区分29,200円66,700円38,300円75,800円
第Ⅱ区分19,500円44,500円25,600円50,600円
第Ⅲ区分9,800円22,300円12,800円25,300円
第Ⅳ区分
多子世帯
7,300円16,700円9,600円19,000円

※生活保護世帯等の自宅通学者には別額があります。 給付奨学金と第一種奨学金を併用すると、第一種の 貸与月額が調整される場合があります。

5.貸与額と返還期間を可視化する

第一種・大学 例:月2万円・3万円・4万円ほか
最高月額は国公私立・自宅内外で異なる
第二種 月2万円~12万円
1万円単位で選択・利息あり

貸与総額の簡易計算

卒業時の貸与元金 96万円 15年で均等に返す単純計算:約5,300円/月

※利息、保証料、実際の返還方式は含まない概算です。 正式な返還額・完了時期はJASSO公式シミュレーションで 必ず確認してください。

返還期間は全員15年ではない

返還期間は貸与総額や返還方式で変わります。 例として、第一種を月3万円、4年間借りた総額144万円は、 JASSOの定額返還例では156回、13年間です。 第二種は元利均等返還となり、利率によって総返還額が 変わります。

所得連動返還方式

2017年度以降の第一種採用者は、前年所得と子どもの数に 応じて返還月額が変わる方式を選べます。 所得が0円でも原則として最低月額2,000円です。 所得が増えると月額が増え、早く返還が終わることがあります。

6.保証制度は「返済免除」ではない

保証制度 仕組み 注意点
人的保証 連帯保証人と保証人を立てる 要件を満たす人の同意と必要書類が必要
機関保証 保証機関に毎月保証料を支払う 貸与月額から保証料が差し引かれる

機関保証を選んでも本人の返還義務は残ります。
保証機関が代位弁済した場合、保証機関から本人へ 原則一括で請求されることがあります。 「保証料を払えば返さなくてよい」という制度ではありません。

7.借りる前の判断順序

  1. 給付・授業料減免を先に確認する。
    返還不要の支援を最優先します。
  2. 家から学校へ払える月額を決める。
    学費だけでなく家賃・食費・交通費も含めます。
  3. 不足額だけを貸与で補う。
    借りられる上限額をそのまま選ばないことが重要です。
  4. 卒業後の手取りから返還可能額を確認する。
    家賃、税・社会保険、生活費を引いた後で判断します。
  5. 毎年、貸与月額を見直す。
    不要になった分は減額し、借入総額を抑えます。

8.公式情報で最終確認する

制度情報確認日:2026年8月1日。 制度・金額・審査年度は変更されることがあります。 申込み時は、在籍校・進学予定校と公式サイトで 最新条件を確認してください。